つぎに編集者が確認すべきことは当面の本がどういう構成になっているかを大枠において確認することである。原稿がかならずしもきちんとした階層構造の同一性をもっているとは限らないからである。つまり、全体がどういう章立てでできているのか、部立てを必要とするのか、章のなかに見出し類(中見出し、小見出し、節、項など)があるのか。それらの関係が本全体にわたって同じレヴェルでできているのかを確認することである。
というのは、往々にして個人の論文集のような場合、それぞれの論文の性格上、あるいは最初の発表媒体等によって、さらには論文の書かれた時期やそのときの考え方によって、かなり不統一になっているのが通常であり、著者がそのことに自覚的でない場合(これはかなり多い)、本来同じ水準にあるべき見出し類のレヴェルが異なってしまっていることが多いからである。すなわち、ある論文には小見出しになっているのに別の論文ではそれが節や項になっているとか、長い論文なのに小見出しひとつなくて読みづらい、といった具合である。
書かれたときのスタイルを尊重してそのまま掲出するという方法もないではないが、そこまで初出を遵守する必然性のないものも多いのではないか。それならば、一冊の論文集として、きちんとした方針を立てて構成を修正していくほうがいいだろう。
これは複数の著者による論集の場合にもありうることである。執筆時期が重なるにもかかわらず、個人差というものがあって、それぞれのスタイルを尊重しながら全体でなんらかの統一性を与えるという方針が必要だろう。参考文献をつけるとか、注をほどこすさいに一定の限定をしないと著しくバランスを損なうことが生じうる。
いずれにせよ、これらは形式的な(外形的な)問題であるが、当然ながら、形式は内容に関連性があるので、その点は著者(たち)と事前にしっかり打合せをする必要がある。
こうした原稿の階層構造は目次として目に見えるかたちで実現するが、目次(コンテンツ)とはまさにその本の設計図あるいは概略であり、まさしく本のコンテンツ(内容、内実)を要約したものなのである。
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