4 鈴村和成出版記念パーティ

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 きのうの夜は、中目黒のエチオピア料理店「クイーン・シーバ」での鈴村和成訳『ランボー全集』出版記念パーティーに出席した。36人ほど出席。何人かの知り合いに挨拶した。鈴村和成さんはいま「未来」で「書簡で読むアフリカのランボー」を連載中。このたびみすず書房から刊行された『ランボー全集』個人全訳は、これまであまり重きをおかれてこなかったアフリカ書簡を大幅に訳出したもので、「未来」の連載はそれをベースにアフリカでのランボーの足跡を追うもので、ユニークなランボー論になっている。
 この出版記念パーティの仕掛け人は野村喜和夫さん。エチオピア料理店はアフリカ好きの鈴村さんにちなんで夫人の眞里子さんが選定したとのことだが、入るのは初めてだそうだ。
 パーティはこの全集の編集を担当したみすず書房の浜田優君の司会で進められた。浜田君は未來社から移籍した編集者で詩人。途中で自作朗読もしていた。冒頭でランボーの権威、粟津則雄さんが挨拶。鈴村訳ランボーのことば遣いに若干の違和を表明された。粟津さんには『ある軌跡』60年版で寄稿してもらったが、「君のことを褒めておいただろ」といわれた。そうだったかな。つづけて乾杯は安藤元雄さん。安藤さんもランボー訳は一篇だけだとしながらも鈴村訳ランボーの現代的すぎるボキャブラリーに言及していた。わたしも通常「酔いどれ船」と訳される長篇詩を「酔いどれボート」とするのはいささかニュアンスが違うような気がしていたが、あとで鈴村さんのこの作品の朗読を聴いて、そのドライブ感のある朗読力に意外性のパワーを感じたのだが。
 思いがけないことに北川透さんが出席していてスピーチされた。フランスのロワイヨーモンでの鈴村さんとの同行の話やその後のパリでの話など、鈴村さんとのつきあいについて語っていた。話自体はよく知っているので驚くほどではなかった。北川さんともひさびさに会ったことになるので、最近の詩集のお礼をかねて以前に比べてその詩が相当に多弁になってきていることを指摘させてもらったが、自分の詩集にかんしてはよくわからないと言われた。たしかにそうだろうと思う。
 藤井貞和さんは鈴村さんとは五〇年近くなるつきあいで、かつての「白鯨」の仲間としてはただひとり出席。いつものひょうひょうとした話だった。そのまえに話をした朝吹亮二さんが言及した鈴村さんの最初の本『ランボー序説』(だったかな)の発行人として藤森建二さんが紹介され、話を聞いた。藤森さんは元未來社、のち洋泉社を起こしたひとだが、未來社時代に鈴村さんの本を出版したとのことで、版元はたぶん永井出版企画じゃないかと思うが、確かめそこなった。会がおわってから中目黒駅のそばで藤森さんと二次会でしばらく話をした。藤森さんもいまや七十一歳。引退して相談役とのことだ。(2011/12/10)

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未来の窓 1997-2011

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