13 JRCと紀伊國屋書店外商部のカタログ販売

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 紀伊國屋書店の外商部とJRC(人文・社会科学書流通センター)とがタイアップしてJRC取扱い出版社の前年の新刊を図書館に納入するカタログ販売の試みを始めて三年目になる。先日来社したJRC後藤社長の話によれば、この販売戦略がとても好調だとのことである。JRCも来年で創立十周年になる。不況の出版業界のなかで大取次の隙間をぬうようにして書店の要望に応え品不足を補うかたちで販売促進や納品をつづけてきたJRCの新たな試みとしてのこの新刊カタログ販売は、紀伊國屋書店外商部の要請もあって始められ、着実に成果を積み上げてきており、経営戦略としても大きな柱になりつつある。
 店舗販売が厳しい紀伊國屋書店にあって、外商部(営業)の力はいまや売上げ上での相当な寄与を実現している。これまで外販を競ってきた丸善の外商力が急激に落ち込んできていると言われるいま、紀伊國屋書店はこちらの面ではかなりのアドバンテージを得てきているようだ。そんななかで、丸善出版がライバルである紀伊國屋書店に販売協力を希望し、後藤氏の推薦と仲介もあってカタログ販売への参加が実現した結果、『科学・技術倫理百科事典』(全5巻)といった高額商品が売れているらしい。当初、紀伊國屋書店側にも営業のモチベーションが上がらないといった反応もあったようだが、結果的にみればこのタイアップは成功し、両者とも喜んでいるとのことである。言ってみれば、丸善が紀伊國屋書店の軍門に下ったようなかたちだが、いまやそこまでしてでも販売成果を上げる必要がそれぞれにあるということかもしれない。
 出版販売の世界はこれまでの習慣やいきさつをいちど洗い直して建設的な方向にいろいろ試みていく時期に入ったのではなかろうか。(2012/2/10)

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