14 バックアップ・ソフトは必須:DiskMirroringTool

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 これまでの記述は、Windowsの使い勝手をよくするためのさまざまなツールやWindows自体の機能を紹介することにあった。これ以外にもまだいろいろあるにちがいないが、わたしがここで主として目的にしているのは、著者や編集者がパソコンを使って仕事をするうえで必要と思われ、知らないでいると損をすると思われるものをわたしの経験に即して記述してきただけである。一部には外部から導入しなければならないユーティリティもあったが、これらはいずれにしてもパソコンを使って仕事をするうえではもっとも基本的なものであるから、早めの導入をお奨めした次第である。
 さてここからは、執筆や編集のうえで基本的なツールを紹介し、その使い方を具体的に記しておこう。「7 インストールしておきたいユーティリティ類」ですでに述べたように、いくつかのユーティリティ類の導入について説明する。
 その第一は、バックアップ・ソフトである。Windowsにもシステムツールとしてバックアップ機能はあるが、ここではもっと使いやすいツールとしてDiskMirroringToolを紹介しておきたい。これはフリーソフトで以下のサイトで簡単に入手できる。(http://www5.wisnet.ne.jp/~mercury/download/dmt122.exe
 バックアップ・ユーティリティとはある意味では単純なソフトで、基本的にファイルのタイムスタンプをチェックして古いデータを新しいデータに置き換える(これを「同期」と呼ぶ)だけのことだが、こうしたちょっとした作業が、不測の事故から重要な文書を保護することにつながるので馬鹿にしてはいけない。備えあれば憂いなし。この安心感が非常に重要なのである。
 このツールは具体的に何をするかというと、本体のデータフォルダの内容をバックアップ用デバイス(外付けハードディスクとかUSBメモリスティックとか)に同じフォルダ構造をもつデータフォルダと同期させ、コピー、更新、削除をおこなうものである。すでに「12 ファイルの保存と管理の方法」で述べたように、たとえばわたしは「Documents」という文書フォルダを作成し、すべての自己作成ファイルないし必要なファイルを階層化してまとめてあるが、バックアップ用の外付けハードディスクにも「DocumentsBackup」というまったく同じ内容のフォルダを作成し、これを自宅と仕事場のそれぞれのパソコンと同期させている。すなわち、家で仕事をしたあと、このDiskMirroringToolを使って、外付けハードディスクの「DocumentsBackup」にバックアップし、それを仕事場に持っていって今度はこの外付けハードディスクから仕事場のパソコンの「Documents」フォルダに同期させてバックアップする。これによってこの瞬間に家と仕事場と外付けハードディスクの内容はすべて一致していることになり、今度は仕事場で新しく作成したり更新したデータを帰るときに外付けハードディスクに同期させて家に持ち帰る。この繰り返しである。うっかりこの作業を忘れると、途中が抜けてしまい困ったことにならないとは限らないが、そのための方策もないわけではない。(*)
 DiskMirroringToolは、バックアップ元フォルダとバックアップ先のフォルダを比べて、バックアップ先にないファイルやフォルダは新たに「作成」し、同じファイルでも古いものを見つければ「更新」する、バックアップ先に残っているがバックアップ元からは削除してしまったファイルやフォルダがあれば、確認のうえ「削除」する、という作業(これをとくに「ミラーリング」と呼ぶ)をするものである。作業ファイルを設定してログを残すこともできる便利なソフトである。
 以下にDiskMirroringToolの設定のしかたの詳細を示しておこう。
 まず、DiskMirroringToolを起動すると、バックアップないし同期させるフォルダ指定のダイアログが出てくる。ここで最初に「プロジェクト」欄で作業内容の名前を決める。「デフォルト」と表示されている文字の横の「名称変更」ボタンをクリックし、たとえばここでやろうとすることが本体の文書フォルダのバックアップだとすれば「文書BackUp」とする。
 つぎに「フォルダ設定」メニューから「追加」を選択(その下のツールバーの「追加」アイコンをクリックだけでもいい)し、「一般」タブの「名称」にたとえば「本体→外付HD」とでも表示する。ここは端的にわかりやすく記述しておくだけでいい。
 こうしておいて「マスター側」と「バックアップ側」にそれぞれのフォルダを指定する。設定欄の右側にある「...」ボタンをクリックしてフォルダを指定する。外部メディアを使っている場合には「バックアップ開始時にボリュームラベルをチェックする」をオンにしておく。「自動バックアップの対象にする」はオフでいい。
 つぎに「動作設定」タブでは「サブディレクトリを含めてバックアップする」をオンにする。階層化されているフォルダをまるごとバックアップするにはこのチェックは必須だ。逆に「バックアップ側のファイルが新しい場合も上書き」はオフにしておいたほうが無難だ。バックアップ側のファイルが新しいこともありうるが、それは逆方向のバックアップ設定をした作業ファイル(たとえば「外付けHD→本体」)を別途に走らせるほうが安全だろう。もっともひとによってはこの機能をオンにすることにより、相方向に同時バックアップするほうを好むかもしれない。その場合はオンでいい。「マスター側に無いファイルはバックアップ側から削除」はオンにしよう。これがミラーリングの実質的作業なのである。つまりマスター側で削除したファイルやフォルダをバックアップ側に反映させるのである。そのさいに「[バックアップ]⇒[ミラーリング]の順で行う」をその下のプルダウンメニューで選択しておくほうがいい。まずバックアップ、それから削除処理をおこなうというわけである。容量がすくないときはこの逆を選択することも可能である。
「ターゲット指定」タブでは「ディレクトリ指定」「ファイル指定」は特別に何も指定しなくていい。処理したりしたくないファイルやフォルダがあればここで指定する必要があるが、フォルダ全部を同期させるのが本来の目的だから、あまり必要はないはずである。「バックアップ対象ファイルの日付指定」は「全てのファイル」を選択しておこう。
「ログファイル」タブでは「専用でログファイルを指定する」をオンにし、「ファイル名」をたとえば「C:Program Files:文書BackUp.LOG」とする。これはあとでエディタで開いて確認したり、出力することもできるようにするためである。「バックアップ毎にログをクリア」をオンにしておくと、最新の作業ログだけを残すことができる。作業ログを一定期間残しておきたい場合にはオフにしておく。いくつものマシンでファイルをやりとりしているようなひとにとってはありがたい機能である。なお、このログファイルを開けるようにするためには、「.LOG」ファイルの関連づけをしておかなければならない。その設定方法は以下のようにする。「フォルダオプション」コントロールパネルを開き、「ファイルの種類」タブから「LOG」を探しだし、「変更」ボタンを押すと開く「ファイルを開くプログラムの選択」ダイアログからたとえば秀丸を選択すればよい。
 こうしてプロジェクトとフォルダ設定を作ったら、それらのどれかをプルダウンメニューと「名称」のクリックで選択して「フォルダ設定」メニューから「設定編集」で修正したり、「複製」で別の設定のためのファイルを作ることができる。こうしていくつものプロジェクトとフォルダ設定を作ることができる。
 これらを実行するには、それらのひとつの作業ファイルを選択し、「バックアップ」メニューから「WinDIFFを起動」をまず選択する。これはマスター側フォルダとバックアップ側フォルダの差分だけを取り出す機能をもつ。そのあとでやはり「バックアップ」メニューから「テスト」ボタンを選択する(ツールバーの「テスト」アイコンをクリックしてもよい)。すると差分ファイルやフォルダの名前と日付・時間の一覧が表示される。ファイル名の左側に「作成」「更新」「削除」と表示されるのでどういう処理がおこなわれるのか確認できるのである。ファイル処理に問題がないことを確認して「バックアップ」メニューから「更新」をクリックする(たんにツールバーの「更新」ボタンをクリックするだけでもよい)とファイル処理がおこなわれる。なお、いきなり「更新」作業をせずにかならず「テスト」作業をしてから使用することをお奨めする。うっかり削除してはいけないファイルを削除してしまわないようにすることもあるからである。
 以下にこの設定を一覧のかたちでまとめておく。

[DiskMirroringToolの「フォルダ設定」]
★「一般」タブ
 「名称」:(たとえば)本体→外付HD
 「マスター側」:C:Documents(わたしの場合はCドライブでなくDドライブ)
 「バックアップ側」:F:DocumentsBackUp(ドライブ名はそれぞれでちがうので注意)
・「ボリュームラベルのチェック」
  「バックアップ開始時にボリュームラベルをチェックする」:オン
  「一致しない場合はこのフォルダ設定をスキップ」:オフ
 「自動バックアップの対象にする」:オフ
★「動作設定」タブ
・「バックアップ」
  「サブディレクトリを含めてバックアップする」:オン
  「バックアップ側のファイルが新しい場合も上書き」:オフ
  「バックアップ側に日付のディレクトリを作成する」:オフ
・「ミラーリング」
  「マスター側に無いファイルはバックアップ側から削除」:オン [バックアップ]⇒[ミラーリング]の順で行う
  「ファイルを削除するときは確認ダイアログを表示」:オフ
 「タイムスタンプの誤差対策を行う」:オフ
 「エラーが出たファイルは無視する」:オフ
 「ファイル名のチェックを行う(不正なファイルは無視)」:オフ
★「ターゲット指定」タブ
 「ディレクトリ指定」「ファイル指定」:何も指定しない
 「バックアップ対象ファイルの日付指定」:全てのファイル
★「ログファイル」タブ
 「専用でログファイルを指定する」:オン
  「ファイル名」:C:Program Files:文書BackUp.LOG
 「バックアップ毎にログをクリア」:オフ(オンも可)
★「スケジュール」タブ
 「自動実行で実行された場合の動作設定」:毎回実行する

(*)わたしの場合は、ファイルに変更をくわえたり、新しくファイルを作成したりしたときには、USBメモリスティックのたとえば「仕事場→自宅」フォルダに手動でファイルをコピーしておくようにする。うっかりバックアップを忘れたときにこれが最小限生きるからである。これをしてみるとDiskMirroringToolの「テスト」で作られる一覧と比べることによって、ちょっとした修正ファイルの差分など覚えていられないことを痛感させられる。一括処理でバックアップすることの重要さがこれでもわかるのである。

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このページは、未来社が2010年2月13日 23:23に書いたブログ記事です。

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