2011年7月アーカイブ

 こうしたファイル操作のほかに、知っておくと便利なコマンドが「保存して終了」または「全保存終了」である。秀丸でファイルを開いているときにいちいち保存(Ctrl+S)してから終了ボタンを押すのでは面倒なので、こういうキー割り当てで保存と終了を簡略化することができる。これらのコマンドにはデフォルトではキー割り当てがなされていないので、なにも割り当てなければ「ファイル」メニューのプルダウンメニューから選択するしかない。
 まず秀丸の「保存して終了」コマンドには「Ctrl+Q」というキー割り当てをしたい。これはわたしの趣味だが、Macintoshではアプリケーションの終了には「Command+Q」(通称コマキュー)というショートカットキーが標準設定されていたのにちなんでみたのである。Macintoshに馴染みのないひとにはあまり感動はないかもしれないが、こういう異なるOSでのキーコマンドの設定は楽しい。すくなくともひとつの秀丸ファイルを保存して終了するさいにはぜひこれを習得してほしい。
 さらに秀丸で複数のファイルを操作しているときにはそれぞれ保存して終了するのは時間の無駄である。こういうときには「全保存終了」コマンドを使いたい。これには「Alt+F4」というキー割り当てをするのが便利である。このキーコマンドはWindowsではアプリケーションの終了に標準で割り付けられているコマンドだからである。ここでは秀丸の複数ファイルを「全保存終了」でいちどに保存しつつアプリケーション終了させるのである。ちなみにこの「Alt+F4」は連打していくと開いているアプリケーションをつぎつぎと終了させて、しまいにはWindowsの終了の直前までいくことができる。
 この「全保存終了」コマンドはQXエディタでも設定できるので、同じように「Alt+F4」というキー定義をしておこう。なお、QXには「保存して終了」コマンドは用意されていないので、「全保存終了」コマンドで代用すればよい。またLightWayTextにはこれらのコマンドはそもそも設定されていない。改善が待たれるところである。

 ファイル系のコマンドのなかであまり重視されていない(かもしれない)ものに「カーソル位置への読込み」コマンドがある。秀丸では「ファイル」メニューからのプルダウンメニューからの選択でこのコマンドを走らせることができるが、デフォルトではキー割り当てがなされていない。
 しかしこのコマンドが重要(重宝)なのは、短いファイルを連続的に連結していくような場合があるからである。こうした場合、ファイル連結・分割ユーティリティ(*)のようなツールを使うのもいいが(**)、ショートカットキーで効率よく確実な方法で実現できるのである。そのためにはこの「カーソル位置への読込み」コマンドにキー割り当てをしておくほうがいい。わたしはこのコマンドに「Ctrl+F3」というキー割り当てをしている。こうしておくと、あるファイルの後ろに別のファイルを連結したいときには、連結したい箇所にカーソルを動かしておいてこのキーを押せば、そこで開かれるダイアログから連結したいファイルを選択するだけで簡単に実現する。さらに続けて次のファイルを連結する場合にはこの作業を連続的におこなえばいいのである。もちろん、ファイルの途中に別のファイルを挿入する場合でも、カーソル位置を確定しておけば、必要なファイルの挿入が実現する。そのためにもこのキー割り当ては(とくに編集作業においては)必要である。なお、このコマンドはQXエディタにもLightWayTextにも存在しない。

(*)ファイル連結・分割ユーティリティにはたとえばXEJOIN95のようなものがある。
(**)このあたりのことは『出版のためのテキスト実践技法/総集篇』の「I-3-3 テキストファイルの連結または分割処理」に詳しく書いたので参照してほしい。

 テキストエディタ(以下、エディタと略す)のファイル系コマンドのなかで前項で挙げたコマンドについで重要なコマンドはいくつかある。それらは「名前を付けて保存」「カーソル位置への読込み」であり、「保存して終了」または「全保存終了」などもある。さらにデータをSHIFT-JISだけでなくUNICODEなどさまざまな文字コードにエンコードする必要があるひとには「上書き保存(改行=LF)」や「日本語(SHIFT-JIS)」や「UNICODE(UTF-8)」などのコマンドがあり、それぞれにキー割り当てができる。
 まず、「名前を付けて保存」であるが、これは通常すでにファイル名の付いているファイルを別の名前で保存しなおすときに使うコマンドである。このコマンドにはデフォルトで「Shift+Ctrl+S」が割り当てられているので、これは踏襲しておいていいだろう。主要なコマンドのサブコマンドにはよく「Shift」キーを追加するパターンがあるので、覚えやすいからであるし、この別名保存コマンドはそれほど頻度が高くないからわざわざ別のキー割り当てをするには及ばないというのがその理由である。とにかく、このコマンドを実行すると「名前を付けて保存」の画面が開かれる。新規ファイルを保存するときにはふつうに上書き保存コマンド(Ctrl+S)でこのファイル名の保存画面を呼び出すことができる。
「名前を付けて保存」画面では「ファイル名」に既存のファイル名が上書きできる状態で呼び出されているので、新しいファイル名を入力して保存ボタンをクリックする。そのさい「ファイルの種類」「エンコードの種類」「改行コード」をプルダウンメニューから選択することができる。
 LightWayTextではこのコマンドが初期設定されていないので、「編集」メニュー~「カスタマイズ」で「設定するメニューアイテムの選択」ボタンをクリックし、「ファイル」のプルダウンメニューからを選択する。「Shift」にチェックを入れ、四角い枠に「S」を入力し、OKボタンをクリックするだけでキーカスタマイズができる。なお、LightWayTextにはキー設定をファイルに保存することはできないので、このキー設定を他のパソコンに読み込ませてキー設定を再現させることはできない。そのつど設定し直さなければならない。
 またQXエディタでは「別のファイル名で文書を保存」コマンドが「F12」にキー定義されているので、これを変更するには、「その他」メニュー~「キー定義設定」画面で「F12:別のファイル名で文書を保存」コマンドをクリックし、「追加」ボタンをクリック~「キー定義変更(キー追加)」で「英数字」を選択~「CTRL」と「SHIFT」にチェックを入れ、四角い枠に「S」を入力し、OKボタンをクリック~「キー定義設定」画面で「保存終了」をクリックすれば設定完了である。

 以下では主として秀丸エディタをモデルに、すぐれたテキストエディタを使いこなすにあたってキーカスタマイズをどのようにおこなうのが便利かを実践にそくしてとりあげていきたい。ここでモデルとしてとりあげるテキストエディタ(以下、エディタと略)は秀丸のほかに、いまこの原稿を書いているLightWayText、さらにはQXエディタである。(*)これらはわたしが現に日常的に使っているエディタであり、これらに可能なかぎり共通のキーカスタマイズを実現することによって、それぞれのエディタの使い勝手の良さにくわえてこれらのコマンドを混乱なく操作できるようにするためである。
 ここではまず、それぞれのテキストエディタでファイル操作をおこなうにあたって主要なキー操作を考えてみよう。
 前項で述べたように、エディタのファイル操作系で最重要なコマンドは、Windows標準のつぎの四つである。まずこれを確認しておこう。
 新規作成:Ctrl+N(New)
 開く:Ctrl+O(Open)
 上書き保存:Ctrl+S(Save)
 印刷:Ctrl+P(Print)
 ただし、QXエディタのデフォルト設定では印刷が「Ctrl+Shift+F12」となっている。これはあまり感心しないので、訂正したい。
 まずQXエディタの「その他」メニュー~「キー定義設定」を選択する。ここで開かれるリスト画面で「Ctrl+P」は「コントロールコードの入力」というデフォルト設定になっているので、このキー定義を選択し、左側の「機能変更」ボタンをクリックし、開かれる画面で左側の「分類」から「ファイル」をクリックし、右側の「定義名・機能説明」の「FilePrint:文書を印刷」を選択し、「設定終了」ボタンをクリックすればキー変更ができる。このキー定義の変更をファイルに保存しようとすれば、「保存終了」ボタンをクリックする。このファイルはQXエディタ本体と同じフォルダに「QXWKEY.INI」として保存される。さらにこれをテキスト保存するためには「?」メニュー~「キー定義一覧」で「一覧作成」をクリックすれば、QXエディタ本体と同じフォルダに「QXWKEY.txt」として保存される。いずれにせよ、QXエディタのキー定義変更(キーカスマイズ)はこのようにして変更できるのである。QXエディタはやや特殊なキー設定をしているので、かなりの変更が必要かもしれない。ちなみにLightWayTextでは「編集」メニュー~「カスタマイズ」でキーカスタマイズをおこなうが、こちらはややシンプルでキーカスタマイズできるコマンドも少ない。

(*)LightWayTextとQXエディタについては「5 早めにテキストエディタをインストールしておこう」で作者名と入手先は紹介ずみである。
 Windowsにはどのアプリケーションでもほぼ共通に機能するキーコマンドが存在する。秀丸や他の主要なテキストエディタでも共通して使えるようになっている。これらはデータを操作するうえできわめて頻度の高いコマンドなのでCtrlキーとの組合せで実現できるようになっている。
 これらは覚えやすくするために英語の対応する単語の頭文字をあてている場合が多い。まずはこれらを完全にマスターするところから始めたい。慣れているひとにとってはあたりまえすぎることであるから、以下を確認してもらうだけでいい。
 秀丸のキー割り当てのコマンド一覧で系列化されている分類が便利なので、以下これに準じてコマンドとそのキー割り当てを確認していこう。
「ファイル系」で最重要なコマンドは、つぎの四つである。
 新規作成:Ctrl+N(New)
 開く:Ctrl+O(Open)
 上書き保存:Ctrl+S(Save)
 印刷:Ctrl+P(Print)
 これ以外にも重要なコマンドはたくさんあり、とりわけ執筆・編集作業において欠かせないものについてはあとで細かく確認していく予定である。以下も同様。
 つぎに「クリップボード系」では
 すべてを選択:Ctrl+A(All)
 コピー:Ctrl+C(Copy)
 貼り付け:Ctrl+V
 切り抜き:Ctrl+X
「その他編集」では
 やり直し:Ctrl+Z
「検索系」では
 検索:Ctrl+F(Find)
 置換:Ctrl+R(Replace)(*)
 これらのキー割り当てにかんしてはとくに変更する必要はないだろう。むしろこれらはすでに指が覚えてしまっている操作でもある場合が多いと思われるので、変更するとかえって混乱すると考えられるからでもある。

(*)Wordではなぜか置換のキー割り当てがCtrl+Hとなっているので注意が必要である。

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