田中浩集 第五巻
国家と個人
田中浩 著
シリーズ : 田中浩集
〔第5回配本〕 多数の国民国家がひしめく現代の国際社会、しかし平和、経済、宗教などいまだ多くの課題が山積している。国家はいかに共存しあえるのか、そもそも現代の国際社会を形成している近代国家とはなにか。かかる課題の解決に必要なのは、近代国家のありかたを起源から問い直す思想の歴史学であることは言うまでもない。本巻では、ホッブズを近代国家・社会言説の創始者に位置づけたうえで、ホッブズ以降の思想家を系譜学的に整理し、近代民主主義の三原則(自由・平等・平和)こそが国家・社会概念の背骨であるべきことを明らかにする。
第一章 近代国家とは
第二章 「法の支配」と民主主義
第三章 近代国家論の生誕――ホッブズ
第四章 近代的制度観と人権――ハリントン
第五章 議会制民主主義の原型――ロック
第六章 政治的保守主義とドイツ思想
第七章 ベンサム主義と社会主義
第八章 社会進化論の流行
第九章 「福祉国家観」の形成
第十章 明治日本と自由主義
第十一章 ファシズムと民主主義
第十二章 現代とは――歴史と思想
付論一 社会契約説
付論二 社会進化論
田中浩(たなか・ひろし)
1926年佐賀県生まれ、一橋大学名誉教授、聖学院大学大学院教授。政治学・政治思想。本シリーズ収録著作のほか、共訳書にホッブズ『リヴァイアサン』『哲学者と法学徒との対話』、シュミット『政治的なものの概念』『政治神学』など多数。