最後のユダヤ人
ジャック・デリダ 著
渡名喜庸哲 訳
シリーズ : ポイエーシス叢書
〔ポイエーシス叢書69〕
現代哲学の最先端を疾走していた晩年のデリダがユダヤ人、ユダヤ性などをめぐって1998年と2000年になされた二つの講演を、盟友ジャン=リュック・ナンシーの緒言とともに収めた講演録。1930年にアルジェリアのユダヤ人家庭に生まれたデリダが、晩年にいたってみずからの出自と「ユダヤ性」を問い直し、現代における〈ユダヤ〉という問題が呈する諸問題に正面から取り組んだ特筆すべき論を展開する。「世界といかに共生しうるのか」という観点から他の宗教との和解、赦し、責任といったさまざまな問題提起をおこなうとともに、サルトルの『ユダヤ人』における問題点と限界を明確にしながら現代のユダヤ人のありかたを「脱構築」する刺戟にみちた論考である。
緒言(ジャン=リュック・ナンシー)
「告白する――不可能なものを 『回帰』、改悛および和解」
「アブラハム、他者」