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帝国主義の時代と現在
東アジアの対話
比較史・比較歴史教育研究会 編
「帝国主義の時代の理解をめぐって──自国史と世界史」をテーマに日本・韓国・中国・台湾・ヴェトナムなどの歴史教育者・研究者が集った第4回東アジア歴史教育シンポジウムの記録。植民地支配を受けた側、支配した側など各々異なる歴史的体験の立場から、世界体制としての帝国主義、「文明」化への抵抗と受容、歴史教育にとっての帝国主義等をめぐり討論。多国・地域間の対話を通じ、近代化の問題、現在の状況克服の問題が議論される。
まえがき ………………………………………………………………………………鳥山孟郎
第I章 世界体制としての帝国主義
1 一九〇〇年前後の帝国主義世界体制と日本 …………………………………木畑洋一
一 根強い日露戦争称揚論
二 帝国主義世界体制と東アジア
三 帝国主義国日本の台頭
四 日英同盟から日露戦争へ
五 日本帝国の様相
2 イギリスと辛亥革命 ………………………………………………………………楊天石
一 中国政治の抗争に積極的に介入したイギリス商人
二 イギリス人の演出による武昌停戦交渉
三 英日米仏独露六カ国干渉下の上海停戦交渉会談
四 孫文と袁世凱との間で袁世凱を支持したイギリス
五 イギリスの対中国政策の背後にある経済的利益
3 カシキリ島は誰のものか ………………………………………………………永原陽子
――植民地分割と現代のアフリカ国家――
一 ある国境紛争
二 国境を決めるもの
三 「カプリヴィ陸岬」の成立とアフリカ人
四 再分割と協調
五 「部族」の創出
六 境界の呪縛
4 第一次大戦前後の国際政治と中華民国北京政府外交 ……………
四 シンポジウムに参加して
2 植民地支配を受けた側の研究動向 ……………………………………………古田元夫
――ヴェトナム――
一 植民地主義と文明の区別
二 論争
3 日本植民統治下における台湾社会の変容とその歴史的意義 …………………呉文星
はじめに
一 言語同化政策と日本語普及運動
二 植民統治と風俗習慣の変化
結 論
4 台湾における歴史教育について …………………………………………………栗原純
はじめに
一 『認識台湾』の編集
二 『認識台湾(歴史篇)』をめぐる対立
5 「開発と収奪」を超えた植民地認識パラダイム ……………………………………趙錫坤
――韓国の植民地近代化論争を中心に――
はじめに
一 植民地下での開発と収奪
二 植民地認識パラダイムの検討――「植民地近代化論争」の争点
結び
6 韓国「国史」教科書に見る歴史像と近代化論争 ………………………………横田安司
はじめに――解放後韓国の歴史教育と歴史研究
一 「国史」教科書における主流的韓国史像
二 近代への移行期における韓国史像
三 近代とは何か――………………馬執斌
――帝国主義形成期の歴史叙述――
はじめに
一 帝国主義形成期に関する歴史発展の脈絡
二 世界史教科書の構成
三 中国史教科書における帝国主義形成期
おわりに
5 私たちの日中歴史教育交流 ……………………………………………………佐藤伸雄
一 戦後の日中交流のはじまり
二 東アジア歴史教育シンポジウムとのかかわり
三 中国の歴史教科書
四 今後の日中交流にむけて
6 教育の場で …………………………………………………………フォルカー・フールト
7 植民地支配を受けた側の視点から ………………………………クリスティン・デネヒー
8 歴史教育についての一断章 ……………………………………………………寺田光雄
はじめに
一 「世の中を読むこと」と深いところで抱える問題
二 受け手の意識を浮かび上がらせる試み
9 高校生の「帝国意識」 ……………………………………………………………鳥山孟郎
一 内なる帝国意識に気づかせる
二 国益優先・強者に屈従・脱亜入欧
三 討論を通じて何がわかるか
四 抑圧された民族の抵抗に気づく
五 何………………………………宮地正人
3 「帝国主義の時代」をいかにとらえるか …………………………………………西川正雄
――批判的一考察――
一 戦争に対する戦争を
二 植民地問題と社会主義
三 帝国主義論
四 ウィルソン対レーニン
五 世界分割
六 「帝国主義の時代」の刻印
4 二〇世紀初頭アメリカの反帝国主義運動の評価 …………………………目良誠二郎
――「帝国史観」と「民主主義史観」の分裂を克服するために――
はじめに
一 第三回東アジア歴史教育シンポジウムでの議論を振り返って
二 反帝国主義運動をどう評価するか
5 中国の近代の歴史像構成と帝国主義 …………………………………………並木頼寿
はじめに
一 帝国主義と中国
二 近代国家建設の課題
三 日本の中国侵略について
むすびにかえて――今後の展望
6 帝国主義批判 ……………………………………………………………………中村平治
――インドの側から――
一 帝国主義支配の現実
二 帝国主義認識の諸特徴
三 プラバート・パトナーヤクの現代帝国主義批判
7 グローバリゼーションのか
二 東アジア歴史教育シンポジウム
三 結び
5 漢字文化圏における歴史学通訳・翻訳のこころえ ………………………………李恩民
6 シンポジウムに参加していない当時の教師と今のモンゴルから考える ………茨木智志
さらに理解を深めるために
あとがき
「第四回東アジア歴史教育シンポジウム」プログラム
報告者・執筆者一覧