眼は巡歴する
沖縄とまなざしのポリティーク
仲里効 著
『オキナワ、イメージの縁(エッジ)』(沖縄タイムス出版文化賞)、『フォトネシア』といった琉球の映画、写真についての優れた批評的業績をもつ著者の、東松照明をはじめとする最新の写真家論集。沖縄写真家シリーズ〈琉球烈像〉を導いた沖縄現代屈指の批評家があらためて琉球における写真と映像の本質を問う。
第一部 琉球烈像
ゼロに萌える――山田實の帰還とリアリズム
無名の造型と母たちへのレクイエム――比嘉康雄の「情民」の原像
“シジ ” を運び、“シジ ” を撮る、結界のメディウム
記憶の地図の測量士――大城弘明のイクサと時代
〈さよなら〉と〈さよなら〉の狭間で――森口豁のトポロジー
第二部 琉球電影烈伝
記憶と夢のスクランブル
地勢学的想像力と暴力の審級――『海燕ジョーの奇跡』をめぐる累進する〈南〉
第三部 恋するEXO
イメージの群島と光の詩学――東松照明と沖縄クロニクル・四〇年
ラブレターと挑発のインターフェース――〈沖縄へ/沖縄から〉の結び目
太郎の〈写真〉を見ることのジレンマ
〈一つの恋〉の終りのために
ヤポネシアはどこへ行った――播種、騙り取り、そして越境するEXO
仲里 効(なかざと・いさお)
1947年、沖縄南大東島生まれ。法政大学卒。批評家。
映像関係では『嘉手苅林昌 唄と語り』(1994年)共同企画、『夢幻琉球・つるヘンリー』(高嶺剛監督、1998年)共同脚本、2003年山形国際ドキュメンタリー映画祭沖縄特集「琉球電影列伝」コーディネーター。
著書に『悲しき亜言語帯』『フォトネシア』『オキナワ、イメージの縁(エッジ)』(以上、未來社)、編著・共著に『琉球共和社会憲法の潜勢力』(未來社)『沖縄映画論』(作品社)など多数。