宮澤賢治
二度生まれの子
倉橋健一 著
シリーズ : 転換期を読む
1992年に刊行された幻の名著『抒情の深層――宮澤賢治と中原中也』(矢立出版)のうち宮澤賢治の部分を独立させ、あらたに関連文献を追加し、著者の長い「あとがきに代えて」とたかとう匡子氏による解説をくわえて復刊する。みずからの存在と書くことの意識をめぐって切迫する賢治の「修羅」とはいかなるものであったのか、妹トシの死をめぐる葛藤やさまざまな童話の分析など、コンパクトながら数多い賢治論のなかでも白眉の一冊。
修羅の自覚
童話以前
水族館の窓
交感の言語
中原中也の関心
二度生まれの子
『春と修羅』出版事情
今、振り返って――あとがきに代えて
[解説]倉橋健一『宮沢賢治』について たかとう匡子
倉橋健一(くらはし・けんいち)
1934年、京都市生まれ。詩人、評論家。『山河』『白鯨』を経て、現在は『イリプス』同人。長年、大阪にあって詩と評論活動を展開し、現在も大学私塾「ペラゴス」を主宰するかたわら、各地で講座をもつ。詩集に『寒い朝』『暗いエリナ』『化身』(地球賞)『失せる故郷』(歴程賞)、『無限抱擁』(現代詩人賞)、『倉橋健一詩集』(現代詩文庫)など、評論集に『未了性としての人間』『詩が円熟するとき――詩的60年代環流』『歌について――啄木と茂吉をめぐるノート』、『倉橋健一選集』全6巻(澪標)、評伝、ノンフィクション『辻潤への愛――小島キヨの生涯』『工匠――31人のマエストロ』などがある。