生まれ変わってもピアニスト
山根弥生子自叙伝
山根弥生子 著
定価: 本体2,400円+税 ISBN: 978-4-624-71104-7 発行日: 2025年3月17日
『ベートーヴェン研究』(1976年、鳥居賞〔現サントリー学芸賞の前身〕を受賞)で知られる音楽評論家の山根銀二(1906-1982)を父にもち、幼少期から音楽的環境のなかに育った著者は戦前・戦中の苦難を乗り越え、18歳でパリ国立音楽院へ留学し、チューリッヒ、ベルリン、モスクワなどにも留学し、腕をみがく。1960年に帰国して本格的に日本デビューを果たしたあとは、国内外で多くの演奏旅行、レコード録音などをおこなう。妹比奈子はソプラノ歌手。本書はそうした長い経歴をさまざまなエピソードをまじえながら書き記した自叙伝。日本の音楽史の一面を鮮やかに語りつくしている。
中原中也
その重きメルヘン
倉橋健一 著 / 陶原葵 解説
定価: 本体2,400円+税 ISBN: 978-4-624-93454-5 発行日: 2024年10月25日
1992年に刊行された幻の名著『抒情の深層――宮澤賢治と中原中也』(矢立出版)のうち中原中也の部分を独立させ、あらたに関連文献を追加し、陶原葵氏による解説をくわえて復刊する。第二次世界大戦末期、戦地に向かう学徒兵が最後の一日を中也の『山羊の歌』をむさぼり読むことに費やしたように、その抒情性が読み手の自由を誘い込む希有の詩人中也の詩の息吹を伝える会心の読解と論述。
思考することば
大岡信 著 / 野沢啓 編・解説
定価: 本体2,400円+税 ISBN: 978-4-624-93453-8 発行日: 2024年9月10日
日本の古典文学論をはじめ現代詩の世界でも詩と詩論によって中心となって活動し、晩年は『折々の歌』などで啓蒙的な役割もはたした大岡信は、若いときから戦後詩の主流だった鮎川信夫をはじめとする『荒地』派世代の主導する詩のありかたに疑義を呈し、みずからの同世代を感受性の王国の世代として称揚し、活発な詩論活動を展開して広い意味での戦後詩をリードした。その活動の初期において「ことば」そのものの創造性をめぐって本質的な問題点を提起したが、時代に先んじすぎていたためか、その深い洞察が広く理解されることなく終わった。その大岡の珠玉のことばへの洞察を集録して生前の大岡の問題意識を継承しようとするコンパクトな一冊。