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書籍詳細

紀行せよ、と村上春樹は言う

紀行せよ、と村上春樹は言う

定価:本体2,800円+税

ISBN:978-4-624-60116-4

発行日:2014年9月25日

判型:四六判上製

ページ:362

Cコード:C0095

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鈴村和成

ジャンル : 文学 >> 文芸批評・評論

ランボー、金子光晴といった旅する詩人たちの足跡を辿ることでその文学を解明してきた著者が、村上春樹のその作品世界に記された土地を実地に踏査するなかで、ムラカミ文学のもつ固有性を探りだす。著者の自在な思考と軽やかな足どりがそこに喚起された地霊の魔力をもって読者をさらに深化したムラカミワールドへといざなう。鈴村紀行文学論の極致。

目次

序に代えて 一
  一〇年の時を隔てた〈心中〉――『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』
序に代えて 二
  めくるめく人生の破局――『女のいない男たち』

第一章 幽体よ、ヘルシンキへ飛べ――村上春樹オデッセー
    (『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』完全裏読み)
 一 沙羅の〈事情聴取〉に始まる
 二 一角獣、あるいはレクサスの新車
 三 「つくるの唇はとりとめのない形をつくった」
 四 霊媒の女・シロの登場
 五 六本目の指
 六 死によって連結するシロとつくる――媒介する灰田
 七 鞍馬の森で
 八 オメナ・ホテル・エーリキンカツ
 九 マーケット広場、中央駅の捕物、ハメーンリンナへ
 一〇 風の歌、あるいはオデュッセウスの帰郷
 一一 「夢の中で責任が始まる」
 一二 黒白の決着がつかない
 一三 意識のキャビネットの「未決」の抽斗に
 一四 嫉妬がエイリアンのように
 一五 巧妙なオデュッセウス、仮面をとらないタルチュフ
 一六 「誰もまだ死んでいない」――午前四時の電話
 一七 新宿駅九番線ホームから

第二章 地震の後、村上春樹の神戸を行く
 一 「めくらやなぎと眠る女」の舞台へ
 二 戎(えびす)神社の卜占空間で
 三 「街と、その不確かな壁」、あるいはランゲルハンス島の岸辺で
 四 五〇メートルだけ残された海岸線
 五 「暴力の残響」を耳に
 六 巫女の振舞い、ふたたび

第三章 村上春樹の札幌、ハワイを行く――ハナレイまで
 一 〈北〉の都市から
 二 「ただ羊がいると感じるだけだ」
 三 〈ぶらぶら歩き〉の効用
 四 アリアドネの糸
 五 〈南〉の島へ、あるいは奇妙な創作秘話
 六 死のたかまり、死のかたまり
 七 江の島→ホノルル、カルト巡礼
 八 「マカハ・ビーチの氷河期」
 九 ムラカミ・ホテルの精髄
 一〇 迷宮の問題点
 一一 カウアイ島の魔法
 一二 〈トイレット・ボウル〉の魔界へ
 一三 クールなハナレイ

第四章 村上春樹の四国、中国を行く――〈約束された場所〉へ
 一 「これは戦争なんだよ」
 二 変容する「空気さなぎ」と、この「小さなもの(リトル・ピープル)」
 三 山梨というトポス
 四 深い森の奥で
 五 〈ナカタ教〉の信徒
 六 〈眠る人〉の系譜
 七 忍び込む〈あっち側〉
 八 クロスする二本のライン
 九 デウス・エクス・マキナ
 一〇 カルトの使者
 一一 黙示録の騎士
 一二 高知の森深く潜行する兵隊たち
 一三 『ねじまき鳥クロニクル』第3部の成立
 一四 大連へ――漱石と村上
 一五 「満州国」の呪い
 一六 「其因果の尽くる所迄」
 一七 「廃墟(ルインス)」――「淋しいなあ」
 一八 「満州は王道楽土で……」
 一九 〈霊能者〉赤坂ナツメグの登場
 二〇 オカルト的療法
 二一 満州とオウム、この強大な秘密結社
 二二 高知の森の日本兵ふたたび
 二三 かくもセレブなラストエンペラー

第五章 『1Q84』の東京サーガを行く
 ホテル・オークラの亡霊たち
 一 青豆の渋谷、青山、赤坂
 二 天吾の新宿
 三 二俣尾/千倉まで

第六章 東奔西走――谷崎潤一郎と村上春樹
 一 谷崎/村上のクロスするところ
 二 「複数言語による思考の分割」
 三 『卍』の紅唇の語ること(パシヴァ/レシヴァ)
 四 谷崎の書生奉公、晴海埠頭の村上
 五 日本列島を東西に分断するパラレル・ワールド
 六 香櫨園の海へ
 七 「始終要約的に『話して』ゐるので、『描いて』はゐない」
 八 芦屋っ子、日本橋っ子――東西都会派作家の雄
 九 引っ越し魔の対決
 一〇 倚松庵のストレンジャー
 一一 『蓼喰ふ蟲』、あるいは〈等価の海〉
 一二 存在/不在のフェティシズム
 一三 「五衣(いつゝぎぬ)」から「スリップの肩紐」まで
 一四 この「肌寒い懐疑の感覚」――関西の誘惑
 一五 「筋を最後マデ考ヘヌカズニ書キダスコト」
 一六 「色彩を持たない……」幽体
 一七 「誰か」と「人」、そして疾走する八重垣姫

 村上春樹著作リスト

 あとがき

著者略歴

鈴村和成(すずむらかずなり)
1944年生まれ。フランス文学者、文芸評論家、元横浜市立大学教授。東京大学仏文科卒。『歴程』同人。2009年、「ランボーとアフリカの8枚の写真」など一連の紀行により第47回藤村記念歴程賞受賞。著書『小説の「私」を探して』(1999)『金子光晴デュオの旅』(野村喜和夫との共著、2013)『書簡で読むアフリカのランボー』(2013)ほか多数。

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