書簡で読むアフリカのランボー
鈴村和成 著
弊社PR誌「未来」で好評連載された『書簡で読むアフリカのランボー』の単行本化。天才少年詩人として一世を風靡したあと二十歳すぎからアフリカの砂漠地方で一介の商人として短い一生を終えたランボーの類いまれなる評伝。「詩人をやめた」あとの後半生を、母や妹、友人、商売人などに宛てたいわゆる「アフリカ書簡」を縦横に読み解きながら、詩人の知られざる行動の実際を探り、ミステリアスな側面を描き出す。アフリカに去ってしまったあとのランボーを一貫して追究してきた鈴村氏ならではの詩人ランボーの全体像が初めて実像を与えられた。
1 Maison Bardey, at Aden-Camp
2 ハラルという迷宮
3 ダンス、ダンス、ダンス、ダンス!
4 「イマージュのない」写真は可能か?
5 オガディンに半身を放って
6 〈リアルな悪夢〉
7 待つこと、遅れること
8 タジュラーの武器商人
9 カイロの雑踏で
10 ランボーVSメネリック
11 エントットの〈笑うランボー〉
12 Voyage éclair とその周辺
13 次々に襲ってくるサイクロンとともに
14 ハラルの coloured plates
15 アビシニアの〈政治的痙攣〉 付・使節団のイタリア派遣
16 「まったく怒り心頭です!」
17 〈エピストリエ〉ということ
18 「何時に乗船すればよいか、お報せください」
鈴村和成(すずむらかずなり)
1944年生。横浜市立大学名誉教授。フランス文学、文芸批評、詩人。著書に『境界の思考』(未來社)『ランボーとアフリカの8枚の写真』(河出書房新社)『村上春樹・戦記/『1Q84』のジェネシス』(彩流社)『ランボー全集 個人新訳』(みすず書房)『ランボー、砂漠を行く』(岩波書店)ほか多数。