注目の本

新版 [新版]方法としての戦後詩

新版 

[新版]方法としての戦後詩

野沢啓

1985年に花神社より刊行された戦後詩論の37年ぶりの復刊。戦後40年が経過しこれまでの戦後詩の運動がそろそろ総括の時期に入った時点で書かれた本格的な詩史論。吉本隆明の『戦後詩史論』の否定的な総括を転倒させ、戦後詩以後のあらたな詩の可能性をも思想的表現論的に探究した著者の最初の長篇評論。最近の『言語隠喩論』にもつながり、現代詩の原点への確認と再考をうながす戦後詩の綿密なフィールドワーク。大岡信氏推薦の力作評論。石垣島の詩人・批評家の八重洋一郎氏の懇切丁寧な解説を付す。

琉球共和国憲法の喚起力

琉球共和国憲法の喚起力

仲宗根勇 仲里効

ことしは1972年に沖縄が「復帰」という名で日本に再併合されて50年目を迎える。「復帰」とは、沖縄の人々にとって何であり、どのような経験だったのか? 沖縄の転換期を決した「復帰」を問うことは、国家とは、国民とは、日本と沖縄の関係とは、そして沖縄の自立とは何かを考え直していくことでもある。「復帰」10年目の1981年、総合誌『新沖縄文学』48号の特集「琉球共和国へのかけ橋」の基調となった仲宗根勇氏による「琉球共和国憲法私(試)案」は、沖縄の自立の根拠と可能性を押し開くものとして大きな注目を集めた。併載された川満信一氏の「琉球共和社会憲法私(試)案」については、すでに沖縄内外の複数の論者による『琉球共和社会憲法の潜勢力』(2014年、小社刊)として世に問われましたが、長く刊行が待たれていた仲宗根憲法への探究がこのたび緊急出版として実現する運びとなった。「琉球共和国憲法私(試)案」への批評の窓が開かれて初めて、沖縄の戦後思想の到達点を見定めることが可能となるであろう。

一人称の過去

一人称の過去


歴史記述における〈私〉

トラヴェルソ・エンツォ 著 / 宇京賴三

歴史は徐々に一人称で書かれるようになってきた。歴史家は過去を再構成することに満足できなくなり、解釈するようになる。それ以来、自身を語るようになった。ジャブロンカやアルティエールの作品によって特徴づけられるハイブリッドな新しいジャンルがかたちづくられる。かれらは独自の調査を文学的なスタイルで物語に仕立て上げる。逆にモディアーノ、ゼーバルトらはノンフィクション小説を作り出す。この「自分」の突出はより深い認識論的な問題を喚起する。本書でトラヴェルソはこの主観主義の創造的可能性、政治的曖昧さ、内在的限界などを問いかけている。

好評既刊

言語隠喩論

言語隠喩論

野沢啓

言語における隠喩的本質とはどういうものか。さまざまな哲学的・思想的知見を渉猟するなかから、詩人でもある著者が詩の実践をとおして言語の創造的本質である隠喩性を明らかにする。これまでのどんな隠喩論とも詩的言語の研究とも異なる、詩の創造的瞬間の現場への考察から言語そのものの構造をとらえようとする、これまで世界の誰も試みたことのない詩人による実践的言語論。藤井貞和氏も推奨の力作評論。

レトリックの哲学

アイヴァー・A・リチャーズ 著 / 村山淳彦

本書は一九三六年にブリン・モー・カレッジでおこなわれた連続講義の記録で同年、オックスフォード大学出版局から刊行された。主意(tenor)と媒体(vehicle)というキー概念を用いて、アリストテレスにはじまる伝統的修辞学(比喩論)の長い伝統とその衰退のあとを受けたかたちで、新しい修辞学を樹立した。フランスで構造主義の影響のもとにジェラール・ジュネットらによるヌーヴェル・レトリック(新修辞学)が新たに進展する以前に、英米系文学理論として本書を起点とする修辞学・隠喩研究が発展することになる、記念碑的名著の新訳。