注目の本

岸辺のない海 石原吉郎ノート

岸辺のない海 石原吉郎ノート

郷原宏

『季刊 未来』で16回にわたって連載され、好評を博した「岸辺のない海 石原吉郎ノート」に参考文献と詳細な年譜を追加して一冊にまとめた伝説の詩人の力作評伝。戦後、極寒の地シベリアに八年にわたって抑留され、苛酷な労働と非人間的な強制収容所生活で人間のぎりぎりの本質と死を見とどけた石原は、現代詩の世界のなかでも独得な詩情と透徹した世界観をもって生き抜いた。そうした特異な存在をめぐって、やはり本誌連載をもとにした『詩人の妻――高村智恵子ノート』で一九八三年のサントリー学芸賞を受賞した、詩人でもある著者の怜悧な筆致が縦横に展開され、鮮やかな刻印を残す。数多ある石原吉郎論の決定版。

加藤尚武著作集第10巻 技術論

加藤尚武著作集第10巻 技術論

加藤尚武

この巻には、現代の技術と人間が生きていくうえでの倫理のあいだに深刻な問題を生じている現代世界の諸問題を論じた『技術と人間の倫理』(1996年)、『価値観と科学/技術』(2001年)、『災害論――安全性工学への疑問』(2011年)の三冊を収録する。鉄腕アトム、『モダン・タイムス』から原子力発電所問題まで縦横無尽の話題で現代技術がもたらす反倫理性、地球破壊をもたらしかねない犯罪性、暴力性を剔抉する。

東大闘争総括

東大闘争総括


戦後責任・ヴェーバー研究・現場実践

折原浩

世界的なヴェーバー学者でもある著者は一九六七年以降の東大闘争時代の造反教官としてもつとに著名であり、これまでもおりにふれて関連論著を発表されてきていますが、東大闘争の象徴的事件でもあった安田講堂攻防戦五〇周年を来年二〇一九年一月に迎えるにあたり、その後の社会のさまざまな問題がこの東大闘争で提起された諸問題が未解決のまま、あるいはいっそうの悪化をみる現状を憂慮されて、一気に書き下ろされた渾身の闘争総括書が本書である。ヴェーバー学者として東大闘争に立ち向かった著者が、大学内外のさまざまな矛盾や策動を綿密な資料調査と徹底した観察によって現場実践的に事実解明した驚くべき実態がついに明らかにされる。問題にかかわりのあるひとたちへの問題提起であるとともに鋭い挑発の書!

好評既刊

加藤尚武著作集第12巻 哲学史

加藤尚武著作集第12巻 哲学史

加藤尚武

この巻にはヘーゲル関連以外の哲学および哲学史関係の主要な論著が集められる。『20世紀の思想』(1997年)、『進歩の思想・成熟の思想』(1993年)のほか、長短8篇の単行本未収録論文を収録する。「哲学史は阿呆の画廊である」というヘーゲルのことばに集約される哲学研究(史)が孕む諸問題を日本の哲学現場の実態もふくめて検証し、「哲学史は哲学ではない」と著者は論断する。また独自のデカルト解釈をふまえて丸山眞男の近代主義にたいするよく知られた苛烈な批判も本巻の白眉となっている。

加藤尚武著作集第8巻 世代間倫理

加藤尚武

この巻には、倫理学者として現実の課題に対応しようとする著者の世代間問題、とりわけ子どもの教育の問題にかんする著作、『子育ての倫理学――少年犯罪の深層から考える』(2000年)『教育の倫理学』(2006年、いずれも丸善ライブラリー刊)のほかに関連する単行本未収録論文7篇を収録する。世代にわたる持続可能性を真剣に考えなければならない時期にある人類への警告と洞察の書。