注目の本

[新訳]桜の園

[新訳]桜の園

アントン・チェーホフ 著 / 安達紀子

十九世紀後半のロシアが生んだ最大の劇作家チェーホフの最後の四幕戯曲(1904年)の最新訳。上演用台本として使えるべくせりふの自然な新しさが工夫されている。十九世紀末のロシア貴族社会の崩壊にともなう新時代の幕開けを告げる記念すべき大作が、現代の新型コロナウィルスに汚染された社会の強いられた変容のなかで、新たな希望への可能性として読み直される必然性が生じてきているのではないか。ロシア演劇専門の訳者による解説も併録。

自己責任という暴力

自己責任という暴力


コロナ禍にみる日本という国の怖さ

齋藤雅俊

長いことテレビ報道の第一線で社会問題に対面しつづけた著者は、現在のコロナウイルスに見舞われた日本人の心理的対応のなかに隠された怖さを見出す。パリ支局長時代に経験したイラク人質事件に見られた日本人の「自己責任」という名の官民あげての暴力的なバッシングは、世界の目からは異常な日本人の心性として目に余るものと見られた。海外でそうした批判や疑問を身近に目撃した著者は、「同調圧力」「自粛警察」などのいまにいたるも変わることのない日本人の精神的な抑圧構造を見抜いている。日本人とは何かを根底から問う警世・警告の書。【第2刷出来!】

遊撃とボーダー

遊撃とボーダー


沖縄・まつろわぬ群島の思想的地峡

仲里効

一九七二年の日本「復帰」以前の
沖縄を出自として
首都東京での一九六八年以降の
ニューレフトや在日沖縄人運動を
独自の立場から闘い抜いた世代が
その後の沖縄にもたらした思想とは何か。
いま現在の沖縄の
さまざまな思想的トポスを縦横に論じ、
文学や映画にまで通達する
思考のダイナミズムを展開する
沖縄のアグレッシヴな論客が切り拓く
沖縄の思考の現在。
アジアともつながる地政的なポジションを駆使して、
停滞するヤマトの思考の地平に
ゆさぶりをかける
異貌の論理が挑みかかる。
現代中国の思想史研究家・孫歌氏との往復書簡も収録。

好評既刊

日常非常、迷宮の時代1970-1995

日常非常、迷宮の時代1970-1995


オペラ戦後文化論II

小林康夫

『季刊 未来』誌で「星形の庭の明るい夢(1970-1989)」として連載され、すでに刊行された『オペラ戦後文化論I 肉体の暗き運命1945-1970』の続篇であり完結篇。文学、ダンス、演劇、ファッションなどさまざまなジャンルにわたる自身の応答のパフォーマンスをそれぞれの時代状況とともに再検証する。戦後時間をほぼリアルタイムで歩み来たった著者の戦後文化にたいする思想的・表象文化論的総括の書。

デュラス×ミッテラン対談集 パリ6区デュパン街の郵便局

マルグリットデュラス フランソワミッテラン 著 / 坂本佳子

フランスの作家M・デュラスと第21代大統領F・ミッテランの対談集。対談は1985年から翌年にかけて行なわれ、フランスの社会、文化、自然、歴史、内政や外交等を広く対象としている。なかでも第二次世界大戦中のレジスタンス運動とナチス強制収容所被収容者の救出活動に費やされる一年ほどのあいだに起こった、数々の出来事の回想部分が圧巻である。作家デュラスの文学の背景にあるさまざまな事実がおのずとあぶり出され、作家研究としても重要であるとともに、大統領ミッテランの政治体験や政治思想の一面なども克明に知ることのできる、重要なドキュメント。