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書籍詳細

時ならぬマルクス

批判的冒険の偉大さと逆境(十九―二十世紀)

時ならぬマルクス

定価:本体6,800円+税

ISBN:978-4-624-01194-9

発行日:2015年12月7日

判型:A5判上製

ページ:580

Cコード:C0010

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ダニエル・ベンサイド
佐々木力 監訳
小原耕一 渡部實

現代資本主義の思想的核心を撃つ!

現代フランス屈指のマルクス主義理論家が、歴史的理性批判、現代の社会学的省察、実証的科学性批判の3点についてマルクス思想の現代的蘇生をはかる。W・ベンヤミン思想をバネとして、四半世紀に及ぶ逆境を跳ね返す活力になりうる高密度の理論書、日本に登場。

目次

 序 論 聞こえない雷鳴

 英語版への序文 千のマルクス主義からなる群島


第一部 聖から俗へ 歴史的理性の批判家マルクス

 第1章 歴史の新しい記述法(エクリチュール)
  ポパー主義の貧困
  新しい記述法(エクリチュール)のアルファベット
  サルとドングリと人間と
  〈普遍的歴史〉なるものを脱構築する

 第2章 調子はずれの時(分析的マルクス主義について)
  マルクスは歴史的規範の理論家か?
  対応性と最適性
  断続と不都合な時(コントルタン)
  歴史的必然性と現実的可能性
  限定的条件付きの進歩

 第3章 時の新しい読み取り方
  歴史の夢と悪夢
  社会関係としての時間
  計られる時間と計る時間
  存在論的批判とメシア的批判
  今や政治が歴史に優先する


第二部 闘争と必然性 社会学的理性の批判家マルクス

 第4章 階級か、それとも失われた主体か
  得がたい社会学
  生産と搾取関係
  流通と生産的労働
  総再生産と未完の章の謎
  社会諸階級と政治的代表

 第5章 闘いはゲームにあらず(ゲーム理論と正義論に直面するマルクス)
  法律的でない正義という概念
  有限のゲーム、無限のゲーム
  正義のこちら側とあちら側
  価値よ、抽象労働よ、さらば
  公正の両義性
  決定論の再犯

 第6章 さて去年の階級はいまいずこ?
  搾取の一般理論
  中間諸階級という頭痛の種
  だれがだれを搾取するのか?
  プロレタリアはもはや赤くないのか?


第三部 無秩序の秩序 科学的実証性の批判家マルクス

 第7章 別のやりかたで学問する
  ドイツ的意味での学問
  ドイツ的学問の起源へ
  批判の永続性

 第8章 新しき内在
  開かれた全体性と矛盾
  焦点合わせとしての規定
  特定的具体性の学問
  論理的順序、歴史的順序

 第9章 歴史的論理の窮境
  歴史的因果性と客観的可能性
  内在因と自由な必然性
  機械論的必然性と容認的必然性
  傾く必然性と傾向的諸法則

 第10章 カオスの舞踏振付
  カオスの足跡
  ヨーロッパ諸学の危機
  めまぐるしく渦巻く論理
  商品の仮面舞踏会

 第11章 物質の懊悩(政治的エコロジー批判)
  人間的自然存在
  散逸するエネルギーを求めて
  身体的労働、社会的労働
  経済的道理のエコロジー的不条理
  あらゆる富の惨めな尺度


《解説》 現代マルクス主義におけるダニエル
      ――『時ならぬマルクス』の成立とその思想史的地平(佐々木 力)

著者略歴

【著者略歴】
ダニエル・ベンサイド(Daniel Bensaïd, 1946-2010)
 現代フランスのマルクス主義理論家で、1968年のパリの五月革命以降世代を代表するトロツキイ派活動家でもあった。パリ第八大学の哲学教員を長く勤めた。本書のフランス語原著が1995年に刊行後、フランス共産党などから最高のマルクス主義理論家のひとりとして認容され、マルクス主義理論の現代的復権の功績を高く評価された。ヨーロッパとラテンアメリカで大きな影響力をふるった。2009年初春には国際トロツキスト組織から一定の距離をとった反資本主義新党(NPA)を立ち上げ、注目された。とりわけ哲学者のジャック・デリダが格別の支援者であったことも知られている。邦訳に『フランス社会運動の再生』(湯川順夫訳、柘植書房)、『新しいインターナショナリズムの胎動』(湯川順夫ほか訳、柘植書房)、『21世紀マルクス主義の摸索』(湯川順夫訳、柘植書房)、『マルクス[取り扱い説明書]』(シャルプ挿絵、湯川順夫ほか訳、柘植書房)、『未知なるものの創造』(渡部實編訳、同時代社)。

【監訳者略歴】
佐々木力(ささき・ちから)
 1947年、宮城県生まれ。東北大学で数学を学んだあと、プリンストン大学大学院でトーマス・S・クーンらに科学史・科学哲学を学び、Ph. D.(歴史学)。1980年から東京大学教養学部講師、助教授を経て、1991年から2010年まで教授。定年退職後、2012年から北京の中国科学院大学人文学院教授。東アジアを代表する科学史家・科学哲学者。著書に、『科学革命の歴史構造』、『近代学問理念の誕生』、『科学論入門』、『数学史』(以上、岩波書店)、『デカルトの数学思想』、『学問論』(以上、東京大学出版会)、『マルクス主義科学論』、『二十世紀数学思想』(以上、みすず書房)、『21世紀のマルクス主義』、『ガロワ正伝』(以上、筑摩書房)、Descartes's Mathematical Thought (Kluwer Academic Publishers)〔『デカルトの数学思想』の英語版〕など多数。

【訳者略歴】
小原耕一(おはら・こういち)
 1941年、東京生まれ。グラムシ研究者。国際グラムシ学会(International Gramsci Society)所属。元『世界政治資料』編集部員(1963-68)、元『赤旗』プラハ(1970-74)、ローマ(1976-81)常駐特派員。主な共訳書に、N・ボッビオ『グラムシ思想の再検討』(御茶の水書房)、A・レプレ『囚われ人アントニオ・グラムシ』(青土社)、A・ネグリ『帝国をめぐる五つの講義』(青土社)、A・ティルゲル『ホモ・ファーベル』(社会評論社)、A・ラブリオーラ『思想は空から降ってはこない』(同時代社)ほか。

渡部實(わたなべ・みのる)
 1942年、会津若松市生まれ。医師(外科医)、医学博士。前日本外科学会認定医。県立会津高等学校を経て、東北大学医学科卒業。全日本民主医療機関連合会に属し、東京勤労者医療会代々木病院外科部長などを歴任。現在、老人保健施設・千寿の郷施設長として、医療、介護に従事。訳書にD・ベンサイド『未知なるものの創造』(同時代社)、A・ラブリオーラ『思想は空から降ってはこない』、同『社会主義と哲学』(以上、同時代社、ともに共訳)。

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