沖縄の自己決定権
地球の涙に虹がかかるまで
喜納昌吉 著
迷走する普天間基地移設問題に「平和の哲学」をもって挑みつづける喜納昌吉のいまを追う。基地の街に生まれ育ち、音楽家として世界のステージに立ち、沖縄市民運動の最前線を駆け抜けた激動の半生をふりかえりつつ、「先住民族の祝祭に学ぶ政治」「国境主義からの脱却」「国連環太平洋本部の沖縄誘致」、そして「沖縄の独立」までをも見据える人類共生のビジョンを熱く訴える、はじめての語り下ろし。
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第一部 音楽家、市民運動家、そして政治家へ
1 喜納少年の生い立ち
戦後の貧困のなかで/北斗七星と風を呼ぶ笛/カエルを煎じて食べる/中学から大学まで/コザという街
2 音楽家への道
音楽への目覚め/沖縄の血、ヤマトの血/音楽家への道/沖縄のオリジナル文化
3 復帰前、復帰後の沖縄
復帰前、復帰後の沖縄のちがい/復帰前の沖縄のデカダンス状況/沖縄の運動のかかえる問題点/本で世界をつかむ
4 喜納昌吉、スターになる
全国デビュー/ダブルブッキング事件/音楽の世界には住めない/日本の二つのトラウマを超える/沖縄の純粋なことばが入ってくる/喜納音楽への評価の推移/沖縄文化の歴史的コンプレックス/竹中労と沖縄芸能界
5 市民運動家として世界を駆けめぐる
市民運動とのかかわり/反復帰論への批判/招ばれるところへ行く/エデンの園を裏切らなかった先住民たち/政治家になる動機としてのイラク戦争/イラクでも共感される/ミサイルの恐怖/イラクで感じたもの
6 政治家への道
政界への出馬へ/民主党のトロイカとの関係/沖縄独立案/社大党、社民党と切れる
第二部 日本のなかの沖縄、その歴史と社会
1 沖縄侵略四〇〇年
ヤマトの沖縄侵略/島津家のルーツ/日の丸と沖縄/沖縄から見る維新のヒーローたち/祖国復帰の意味、問われる沖縄人
2 天皇制をめぐって
天皇制と日本人のアイデンティティ/左翼でも右翼でもなく、中翼/固有の日本人とはなにか
3 日本国憲法の問題点と日米安保
ペリーとマッカーサーのトラウマ/不平等条約性の根本的な問題点/マッカーサーの理想と苦悩/「ビンのフタ」論とアメリカの世界戦略/憲法改正、護憲派と改憲派/米国憲法とイロコイ連邦/小沢一郎と国連主義/佐藤首相の密約/日米地位協定というクセモノ
4 グローバルビジョンの構築に向けて
グローバルビジョンにどう向かっていくか/鳩山首相の「友愛の哲学」/答えから考えること、地球と共生すること/現代に神流を作る/理想と現実が手を結べる概念革命/国際社会における日本の役割/生命のオーラ/グローバルの力をどうして開けるか/グローバル社会の罠/天岩戸を開けに来た
5 沖縄の役割と可能性
沖縄の役割と環太平洋国連構想/沖縄ビジョンという夢と現実/基地問題の今後/国家とグローバル企業の限界/地球憲法の提唱
第三部 沖縄の自己決定権とはなにか
1 「うるの会」結成から解散まで
「うるの会」解散のいきさつ/歴史的政権交代のなかの沖縄問題/ルール違反と協定違反/沿岸でも陸上でも辺野古ではないのか/与党三党連立ワーキングチームの欺瞞/日米検証委員会の立ち上げ/地位協定の問題を手続き問題にすりかえる手口/県内移設案にどういう責任をとるのか
2 参議院議員として今後やるべき仕事
参院選再出馬の理由/東洋と西洋の対話/なぜ拉致問題か/軍産複合体という怪物
の正体/メガフロートの提案/平和利用のための浮体工法を悪用するひとたち/政治の裏工作のからくり/米軍再編のための辺野古トリック/つくられた沖縄・八重山ブーム/アメとムチの沖縄政策/アメリカの極東戦略
3 沖縄の自立へ向けて
転換期に立つ沖縄/官房機密費の怪/構造的貧困からの脱却/沖縄の観光立県のための一国二制度を/国連改革と沖縄独立/沖縄のマスコミ/沖縄の世論形成と裏の関係/沖縄に加害者はいるのか/地元とのオープンな対話を/世界戦略から見るアメリカの真意
4 沖縄の最終選択としての自己決定権
宇宙概念を天動説から全動説に転換する/あなたも中心、私も中心/「共生」と自己決定権/未来へ向かっての独立
天国への門となるか地獄への門となるか――あとがきに代えて
喜納昌吉の主な政策
沖縄年表
喜納昌吉略年譜
1948年沖縄県沖縄市生まれ。代表曲「ハイサイおじさん」は沖縄のスタンダードナンバー。「花~すべての人の心に花を~」は世界中で広くカバーされている。音楽を通して平和・人権・環境等の活動にも積極的に取り組み、祭りやコンサートの主催も多い。海外公演も多数。