暗黒の大陸

はじめに

第１章　見捨てられた神殿 ：民主主義の興隆と失墜
　　憲法の制定
　　ヨーロッパの内戦
　　ブルジョワの疑念
　　議会主義への批判
　　民主主義の危機
　　さまざまな右翼
　　法とナチス国家

第２章　帝国、国民（ネイション）、マイノリティ
　　大帝国の解体
　　自由主義的ヴァリアント ：マイノリティの権利を目指して
　　理想主義者と現実主義者
　　自由主義の新秩序に抗して
　　ファシストの諸帝国

第３章　健康な身体、病んだ身体
　　戦争と肉体破壊
　　家長としての国家
　　量と質

第４章　資本主義の危機
　　共産主義の成果
　　経済ナショナリズムによる景気回復
　　ファシスト資本主義
　　民主的資本主義の改革

第５章　ヒトラーの新秩序、1938-45年
　　ヒトラーが逃した機会
　　歴史に残る時代に生きる
　　ヨーロッパの組織化
　　総力戦
　　人種的存在としてのヨーロッパ
　　人種戦争（一）　：ポーランド、1939年から41年
　　人種戦争（二）　：絶滅戦争、1941年から45年

第６章　黄金時代への青写真
　　デモクラシーの復活
　　個人対国家
　　国民国家と国際秩序
　　新たなコンセンサス ：その限界と矛盾
　　ユートピアと現実 ：何が実現されたのか

第７章　残忍な平和、1943-49年
　　住民移動と社会の危機 ：1944-48年
　　家族と道徳
　　占領の政治、1943-45年
　　新しい出発か？
　　ドイツの分割
　　ヨーロッパにおける冷戦

第８章　人民民主主義の建設
　　政治的支配の確立
　　スターリン主義に向けて
　　共産主義の改革か？
　　新しい社会
　　帝国の終焉？

第９章　民主主義の変容 ：西欧、1950-75年
　　民主主義の再生
　　成長の奇跡
　　福祉国家
　　ヨーロッパの個人主義的動員
　　ヨーロッパのアメリカ化？
　　成長社会における抗議
　　移　民

第10章　社会契約の危機
　　インフレーションの危機
　　サッチャーの実験
　　持続する国家
　　左翼の衰退？
　　割を食った人々
　　個人主義の勝利？
　　グローバル化と国民国家の危機

第11章　鮫とイルカ ：共産主義の崩壊
　　世界経済危機と東欧
　　萎縮した党
　　ソ連の政策変容
　　1989年の危機
　　ドイツ再統一
　　旧ユーゴスラヴィアの戦争

エピローグ　ヨーロッパの形成

地図・表


訳者あとがき

【著者略歴】
マーク・マゾワー（Mark Mazower）
1958年生まれ。コロンビア大学教授。歴史学、特にギリシャを中心とするバルカン近代史、20世紀ヨーロッパ史、国際関係史を専門とする。邦訳に『国際協調の先駆者たち――理想と現実の200年』（依田卓巳訳、NTT出版、2015年）、『国連と帝国――世界秩序をめぐる攻防の20世紀』（池田年穂訳、慶應義塾大学出版会、2015年）。

【訳者略歴】
中田瑞穂（なかだ・みずほ）
1968年生まれ。東京大学大学院法学政治学研究科博士課程単位取得退学。博士（法学、東京大学）。明治学院大学国際学部教授。専門は東・中欧の政治史、比較政治。著書に『農民と労働者の民主主義――戦間期チェコスロヴァキア政治史』（名古屋大学出版会、2012年）。

網谷龍介（あみや・りょうすけ）
1968年生まれ。東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了。津田塾大学学芸学部教授。専門は現代ヨーロッパ政治、EUの政治。著書に『ヨーロッパのデモクラシー』（共編著、ナカニシヤ出版、2009年、改訂第2版、2014年）。