2024年8月アーカイブ

 この九月二十一日(土)から十月二十日(日)まで一か月にわたって東京都世田谷区南烏山にある世田谷文学館で「小説と映画の世紀展――追悼・菅野昭正名誉館長」が開催されます。タイトルにも現われていますように、この展覧会は、二〇〇七年から十四年間にわたって館長をつとめられていた菅野昭正氏の最後の著書『小説と映画の世紀』(二〇二一年、小社刊)をもとに展示と映画上映、トークイベントなどをふくめた大きな企画展です。二十世紀の代表的な小説と映画を十二本組み合わせて論じたこの本は九十歳前後の先生が渾身の筆力をもって残された二十世紀の遺言書のかたちをとって遺された書物です。すでに高い評価を得ている本ですが、今回はミュージアムショップでこの本も販売されます。同時に、菅野先生が生前最後に書かれたと思われる連載「現代見聞録」の五回目「医療の現在をめぐって(遺稿)」も、亡くなられた当時、掲載をみあわせておりましたが、これを機に『季刊 未来』秋号巻頭に掲載させてもらうことになりました。絶筆と呼んでしかるべきものですが、先生の現代への警告的メッセージでもあります。ご来場の方には自由にお持ち帰りいただくことになっています。
 なお、この本でとりあげられた十二本の映画のうち「第三の男」をはじめ「ベニスに死す」「時計じかけのオレンジ」の上映もあり、平野啓一郎氏、島田雅彦氏の上映トーク、野崎歓氏と塚本昌則氏の対談など盛りだくさんの予定が組まれております。先日、文学館の担当の方ともお会いしましたが、なみなみならぬ意欲と知識に感心させられました。くわしくは文学館HPをご覧ください。この企画展が大成功にいたるよう全力で応援させていただきます。

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